腹八分


 8月、あの熱い熱気はどこへ行ってしまったのでしょう。かつて日本の経済が高度経済成長期であった頃、日本の貧困を象徴する地域では、8月を迎えるとしばしば自然発生的な暴動が起きたものでした。警察官のちょっとした一言から端を発し、騒ぎが無秩序にひろがってしまう。そんな図式の暴動でした。暴動は否定されるべきものであるけれども、日本の抱える問題を世間に知らしめるものでもありました。▼高度経済成長のあと一時の停滞、そしてまさに泡のように消えたバブル景気。そして長く続く平成不況。自立、自助、自己責任。このような上からの変革の押しつけは、これまで築き上げてきた社会保障をとみに削り、新たな貧困を生み出しています。その一方で政府の手厚い保護のもとで大企業は空前の利益を上げています。新たな貧困の原因は政府の施策の中にあるのです。暴動はいけないことです。しかし今、暴動の発生が不思議でない状況にありながら、暴動を発生するエネルギーが失われてしまっています。▼政府に不満をたたきつけたあの暴動のエネルギーはどこへ行ってしまったのでしょうか。次々に発生するカルトやエセ宗教集団が幻想の中に人々を閉じこめ、変革へのエネルギーを奪ってゆきます。二大政党制論という巨大な幻想もふりまかれています。企業の中でも働く者の分断化がすすみ、働く者の権利が弱められています。貧富の差が拡大し社会の矛盾が深まる中で、変革のエネルギー結集の条件が整っていません。その中で、変革を求め続けたマルクスがいまも人々の心をとらえているのは注目すべきことです。

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