腹八分

 90年代不況とも平成不況とも呼ばれた景気の低迷が徐々に回復に向かっている。こんな声が各方面から聞こえてくるようになりました。確かに株式に上場されている企業の多くが、かつてない利益を計上しています。大企業の集合体である経団連はとみに発言力を強め、その傲慢さはかつての陸軍のようであります。▼勝ち組財界のもとで、国民の多くが負け組に追いやられています。年金を唯一の頼りとする高齢者は、今度の年金改悪によっていっそう苦境に追い込まれてしまいました。若者たちは景気回復の声の中で、やはり就職難の嵐の中であえいでいます。企業に生き残った若者たちも、長時間過密労働を強いられ神経を病んでいく者も少なくありません。▼設計にたずさわっていたある若者は、会社の同僚から「みの虫」とあだ名されていました。仕事が終わらなければ家に帰れないシステムの中で、彼は会社に寝袋を持ち込んで仕事を続けていました。やがて彼は神経を病み退社しました。物づくりが好きであった彼は、小さな工場で働くようになりましたが、収入は今までの半分、そして彼の立場も非常に不安定なものです。彼の仲間の多くも彼と同じような立場にいます。仕事の内容が複雑になったり、高度化するなかで仕事をこなしきれず、フリーターになっていく者もいます。▼自らの利益ばかりを追いかけて将来の展望を持ちきれない企業は、その土台を次第に弱体化させていきます。かつて勢いを誇っていた軍が国民の疲弊と共に自らも弱体化し、やがて崩壊した歴史を思い出します。

 

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