腹八分

 世の中にはお目見えのその時は、いかにも深い意味がありそうに見えて利用してみると何だこんなもの、といっぺんに評判を落としてしまうものがあります。人間にだってたまにそんな人がいます。
 街を歩いてみると、そんな役立たずがいっぱい目に入ってきます。幹線道路のあちこちに「歩道橋」があります。出来上がるまではこれでもう安全、交通事故が無くなる。文明の勝利。こんなもてはやされかたでした。しかし実際の歩道橋は利用者も少なく、そして何よりも自転車や歩行者にとっては邪魔な物になっています。公費、つまり住民の税金を使っての仕事です。時として大事故になってしまう危険をはらみながら結果としてムダ使いに終わってしまったのです。
 国家的な事業でもこんなムダが目につきます。飛行機の飛ばない飛行場だとか船が来ない港だとか、車が通らない橋だとかです。「行政改革」の一番はこのようなムダを無くすところにあります。ムダとは国民が生活していくうえで役に立たない物のことです。しかし行政は、このムダに群がって自らの延命をはかっていました。「党をぶっこわす」こんな勇ましいセリフで登場した人物が、その能力以上にもてはやされたのは、ムダの源が彼の所属する党にあることを国民の多くが知っていたからでもあります。
 さて勇ましい首相は国民からは、ずっと離れたところでぶっ壊れなかった党の中でもう一度総裁に選ばれました。最初のお目見えから比べればかなり色あせていて、なんだこんな程度なの、という声のある中で。

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